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2020年2月15日 (土)

自分ひとり老いれば朽ちて!

昭和52年(1977年)10月号(今から43年も前)の「明日への発言」というコーナーに「マスコミよ、傷をつつくな!
=差別と偏見を考える」と題して、神奈川県の西村茂雄さんの投稿が載っている。あくまでも43年前の読者の投稿だということを頭に入れてから読んでほしい。
 
「ホモという性を汚い言葉ながらずばり表現すれば、相手が男でなければチンポが勃たないとしか言いようがない。それを正常なあなた方に理解してもらおうとも思わないし、理解してもらえるはずもない。
 
確かに女性を愛する男が正常であり、男しか愛せない男の私たちが、異常であることを私たち自身がいちばん痛く知っているのです。そしてホモというのはどこか狂ってしまっている精神病の一種としてもおかしくはないでしょう。しかし、他の精神病と違う点は、当の私たちがその狂っていることをはっきり知っていることです。俺は狂っていない。私は狂っていないと信じながら病院に送られる患者とは違うのです。自分が狂っていることを知っているからこそ苦しいのです。
 
自然の営みというものは植物であれ、動物であれ、生きているものすべて子孫を残すことに始まり、終わっています。それが性であり、その性が狂っていることを知りながら、社会で生活する私たちの苦しさをあなたたちは理解できないでしょう。
 
あなたたちは「ホモ野郎」「オンナオトコ」「中性」などという言葉と態度をまともに浴びせてきます。
 
精神病の患者に向かって、あなたたちは「テンカン野郎」「キチガイ」とまともに言いますか? ホモが精神病の一種と決めてそれに甘える気はありません。しかし、私たちは好きでホモに生まれついたわけではありません。中学から高校、友だちが異性の話に興じている中で、それを話を合わせながら、自分が異質であることを知った時、私たちは自分の性(さが)を悟るのです。(中略)
 
主婦むけのワイドショーや、三面記事的番組で事件や出来事の核心を忘れ、興味本位だけで構成した挙句、「おお気持ち悪い」とまでいう権利があなたたちにはあるのだろうか。
 
有名人の離婚に関して「夫はホモだった」という女がいる。それは夫婦間の問題であって、「夫は短小だった」「早漏で満足できなかった」という女がいるだろうか。
 
それを微に入り細に渡り報道するマスコミがいるだろうか。それがホモであるから記事になると言われるだろうが、わざわざ他人の足をすくい、ひとりの個人の人生を壊す権利があなたたちにあるのだろうか。(中略)
 
私たちはホモの解放運動など決して望みません。伊藤文学氏の言葉に「ホモも胸を張って明るい太陽の下に出よう」と言われていますが、それは決して出来ないことです。
 
私たちが自然の道理からはずれている以上、これからどのような時代が来ても太陽の下には飛び出せないでしょう。それを知っているからこそ私たちはある部分で、息をひそめて生きているのです。それを興味本位のさらしものとしてひきずりだし、傷をつつくようなことをしないでほしい。
 
私たち自身で自分たちが他人とは違っていることを知っているのだから、偏見からくる差別をも仕方なく受け入れながら心の中で闘い続けるでしょう。
 
偏見と差別など実際には悲しいながら慣れてしまっている面があり、本当に苦しくて辛いのは、友人たちが結婚をし、子供と奥さんに囲まれている姿を見るとき、ただ生まれてきて自分ひとり老いれば朽ちて、それだけの生命であることを感じることなのです。」
 
43年前の読者は、こんな思いの人が多かったのだ。

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