« 『兵隊画集』と笹岡作治の接点は? | トップページ | 山田洋次さん、大声で笑える映画を! »

2020年6月15日 (月)

ずんぐり、むっくりの裸の兵隊たち!

蕎麦数彦さん、大阪に住んでいる方で、『薔薇族』の読者でもあり、物事を深く追求するタイプで小説も多く書かれている。

 

『薔薇族』に昭和48年「ああ、M検物語」を発表されたのが最初で、自らの兵隊時代の体験を生々しく書かれたのが、読者に好評で、それから次から次へと小説を送りつけてきた。

 

その原稿は原稿用紙に書かれたものでなく藁半紙に独特の小さな文字で、びっしりと書かれていた。

 

笹岡作治のペンネームは、ぼくが名付けたもので、福岡の消印があるから福岡に住んでいる方だということしかわからない。

 

笹岡作治さんの作品に熱愛している方が、大阪に住む蕎麦数彦さんだ。その頃、「主婦と生活社」の子会社である「番町書房」から出版された『兵隊画集』(伊藤桂一序・昭和47年刊)が刊行された。蕎麦さんは『兵隊画集』の熱狂的なファンだった。笹岡作治先生は私にとって特別な作家ですと、ぼくへの手紙に書かれているが、『兵隊画集』に描かれている兵隊たちの裸体が、蕎麦さんの好みと一致していたからだろう。

 

A_20200605213401

 

『兵隊画集』は富田晃弘さんが、第二次世界大戦の日本軍、第12師団、歩兵第24聯隊で従軍した作者が、その経験をもとに描いた画と詩、文をまとめた作品だ。

 

入隊から満洲、台湾と、戦地の軍隊生活が兵隊たちの装備、柱に貼られた標語、生活用具など、細部に至まで驚くほど細密に活写された画と、それに添えられた哀切な詩が読者の心に鮮烈な印象を残す、傑作中の傑作だ。

 

その魅力は年月を経ても全く減ずることはない。中でもぼくが引き付けられたのは、画のなかに蠢く、一様にずんぐりむっくりの体型の兵隊たちだ。

 

B_20200605213401

 

笹岡作治さんと、富田晃弘さんが同一人物だということを突き止めたが、ぼくも間違いないと思う。今回は蕎麦さんの小説「裸一貫ワラチン漁師」をネットで読んでもらいたいと思ってのことだ。なかなかの力作なので是非、読んでもらいたい。

千葉県の九十九里浜の漁師の生活を描いているが、蕎麦さん、九十九里浜のことを書いた何冊もの文献を読んで書いたもののようだ。

東京の一等地に店を構える時計商の三男坊として生まれた。だが誰もが羨む幸せな時間は、17歳の誕生日を迎えて終わりに。

父親の店が火災で全焼し、事業に失敗し倒産する。そして主人公は久里浜の漁師に養子としてもらわれてしまう。

それからは素っ裸で、オチンチンにワラチンを付けただけで働かされた。それからの生活は凄まじい。ノンケのぼくでもボッキしそうになる迫力だ。

 

「「ソンナじゃあ、いつまで経ってもみごわらしべを結ばれんぜ。ガキの真っ裸とおんなじだ」

 

古株の漁師が意地悪く肩から覗き込むようにして言った。

 

むけきった亀頭を囲むように、わらを結んだ男たちの男根。むくつけき漁師たちのそれは、大きさこそ大小あるが、堂々と晒しているからか、誰のものもふてぶてしく、その性能を誇示しているように見えた。

 

経一は、この陽物に結んだ笑を指して「これが俺たちの仕事着だ」と言っていた。同じ丸裸だと言っても、ここではわらを結ぶということが、ユニホームを着ることと同じような意味を持つらしい」

 

タイトルの「裸一貫ワラチン漁師」はここから名付けしたものだ。

 

荒々しい漁師たちの凄まじい性描写も見事に描けている。ネットで見るのは無料だそうだから是非、読んでください。

 

★コメントを是非!

|

« 『兵隊画集』と笹岡作治の接点は? | トップページ | 山田洋次さん、大声で笑える映画を! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 『兵隊画集』と笹岡作治の接点は? | トップページ | 山田洋次さん、大声で笑える映画を! »