少年が好きだから教師の道を!
「知らぬままに先生と手をついないでいた」と題する松山市中学3年生の投稿。
先生は読者の中でも一番多い。少年が好きだから教師の道を選ぶのだろう。
「僕は中学3年の男の子。割と真面目で部活に励んでいます。
住んでいるのは伊予国の松山市。『坊ちゃん』で有名。実は僕『薔薇族』を2ヶ月前に知ったんです。とても驚いたけど嬉しかった。それで顔を赤くしながら大急ぎで買って走って帰った。自分の部屋で開いてみてもう胸がドキドキ。いつの間にか勃ち上がってしまって、すごい本だなあほんとに。
今は僕、学校の先生が好きになって困っているんです。それもうんと年上の40歳を越している中学の先生。とても優しいのです。学校の中でも偉い先生みたいで、若い先生がいろいろ教えてもらっている。とても落ち着いていて、穏やかないい顔しているんだ。歳の割には足も長いし。その先生がバレー部の顧問をしている。僕、バレーボール部員。練習の時は厳しく仕込んでくれます。普段はとても優しいお父さんみたい。つい甘えて抱いてもらいたくなるような。
その先生が好きになったのは春休み。松山の町の真ん中、松山の繁華街です。そこでばったり会ったんです。
「いっしょに歩こう」なんて誘ってくれるものだから大判焼きを3個買って僕にくれたのです。僕嬉しくて。
それからなおもいっしょに歩いて、とうとう堀之内公園へ来てしまった。全然疲れなかった。堀内の桜並木から土手へ上がって、人影の少ない木立の中を2人で歩いたんです。まるで恋人みたいだなあと思いました。とっても幸せな気分でした。
どこからも見えないような大きな松の木の下でしばらく立ち止まって話をしました。いつの間にか手を繋いでいるんだ。不思議。
「もう帰ろうか」
「ハイ」そう言って先生は僕の肩に手を回して、グッと抱き寄せてくれたんです。胸に頭をくっつけるように、しばらくじっとしていました。
先生の匂いがしました。いい匂い。あれ何の匂いだろう。香水の匂いかな。いや、洋服の何か、ナフタリンというのか、いい匂い。懐かしい匂い。
それからその先生、大好き。今、その先生がいるからバレーボールも一生懸命やる。
学校へ行くのも楽しくてしょうがない。友達も結構いるけど、その先生さえいてくれればいいんだ。何となく先生、僕に特別な目をかけてくれるようなんだ。嬉しい。
また2人で歩きたい。抱きしめてもらいたい。2人だけになりたい。それだけでいいんだ。M先生、大好き。」
ほのぼのとしたいい話ではないか。これから2人がどうなったのかはわからないが。
先生と生徒の話は、『薔薇族』誌上では珍しいことではなかった。この先生、独身なのだろうか。40歳を越しているという先生、この時代、40歳を過ぎて結婚していないわけがない。独身でいたら親たちにも学内でもおかしいと思われてしまうから。
四国の愛媛に住む先生。書くことが好きな先生で投稿をしばしば寄せてくれた。ジャニーズの公演を聞きにくるために上京してきたときにお会いしたことがある。
奥さんや子供がいるのに、山の分校に単身赴任した時が一番楽しかったという。流石に校長になってからは、欲望を抑えていたようだが。
脳梗塞で倒れてからは奥さんの看護なしでは生きられなくなってしまった。何とも皮肉な話ではある。
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