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2020年7月18日 (土)

お兄ちゃんが先輩と抱き合っていた!

ここ1週間ぐらいのことだろうか、急に体力が弱り始めて、下北沢駅前のスーパーになんとか休み休みでも歩いて行けたのが、4、5日前、路上で倒れてしまい、立ち上がれなくなってしまった。

 

ジタバタしていたら親切な若者が助け起こしてくれた。たまたま同じマンションに住む奥さんが通りかかって女房に知らせて迎えにきてくれた。

 

夜中に何度も目が覚めてトイレに行く。もう慣れてしまったので気にしないのだが、カフェ「織部」の入り口に立つビルの4階に「間宮クリニック」がある。

 

間宮先生は東京医大の泌尿器科にいた方で独立して7、8年前に開業された。長い間、お世話になっていて、整形外科の正岡先生を紹介してくれて、膝に人工膝を入れる手術をしてもらった。おかげで歩けるようになった恩人とも言える先生だ。

 

最近、あまりにも夜中にトイレに起きるので、しばらくぶりに間宮クリニックを訪れた。以前のデータを保有してくれていて現在悪化しているというので、薬を処方してくれて飲み始めている。

 

眠り方が浅いので夢をよく見る。目が覚めた時は覚えているが、もう車の免許はないのに、車で走り回っている夢だ。

 

夢の中のことだから問題はないのだが。長い間、出版の仕事をしていたから今でも頭の中に残っているのだろう。

 

ぼくの最初の出版物は『心が破けてしまいそう』だ。印税なんてもらわなかったけれど、1万2千部も作ってくれた。

 

ぼくのところに何十通かの手紙が寄せられたが、そのほとんどが女性からのものだった。そしてその全てが同性愛者に偏見を持つどころか、好意的であり、良き理解者たらんとするものばかりだったのだ。

 

大分県の高1の女性からの手紙。

 

「兄がいてその日のお兄ちゃんのクラブの先輩が家に遊びに来ていて、部屋に入っちゃいけないぞって言われていたのです。

 

コーヒーとケーキを持って部屋の扉を少し開けてみたのです。そう見てしまったのです。お兄さんとKさんが抱き合ってキスしているのを……。

 

その日からホモについてのいろんな本を読みました。ジュネ、三島、足穂などです。

 

今日、本屋さんで『心が破けてしまいそう』を買ってきました。驚きました。お兄ちゃんと同じような悩みを持っている人、こんなにいたのですね。それよりもチビバラ君たちの意外なほどの明るさに、なんだか救われるような気がしました。」

 

この少女「同性愛に対する人々の偏見を出来る限り取り除いていき、同性愛者を理解していこう」ということで、友達を集めてグループを作り、研究会を週に一度開いているという。

 

兄貴が先輩と抱き合っているのを女の子が見たら、薄汚いと思って軽蔑するのが当たり前なのに、同性愛を理解しようと思って本を読み、研究会まで作っているというのだ。

 

彼女だけでなく、どの手紙も非難の言葉はありませんでした。『心が破けてしまいそう』小さな波紋しか起こせなかったけれど、努力して本にした甲斐があったというものだ。

 

 

この時代、まだ本が売れていた時代で、ネットなんてものがなかった。本の力の偉大さを思い知らされる話だった。

 

『薔薇族』の創刊は、どれだけ多くの人たちに光明を与えたことか。計り知れないものがあったのでは……。

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コメント

「心が破けてしまいそう」の、大分の高校生の妹さんとお兄さんの話し、あたたかくも、けなげで、純で、切ないですね。

おそらく、50年位前の話しだと思いますが、2020年の今も、きっと、日本のどこかでは、同じようなことがあるのではと、思います。

ただ、50年前とは違うのは、今は、社会の同性愛への理解がはるかに進んだという点だと思います。
(もちろん、50年前の社会の方が、世の中全体が情が厚かったり、純朴だったりのいい面もあるでしょうが)

社会の、世の中の、同性愛への正しい理解が進んだのは、
あきらかに、伊藤さんのご努力や、雑誌「薔薇族」の多大な貢献が大きかったことが、一因にあると思います。

ただ、まだまだ、今も、偏見や無理解が、無くなったわけではありません。

いまだに、伊藤さんに、おんぶにだっこで、頼ってばかりじゃ、心苦しいですが、
まだまだ、伊藤さんには、元気でいていただいて、
50年前と同様に迷われてる方々のためにも、世の中に、いい影響を与え続けていただきたいです。

学生時代に、薔薇族の「編集室から」宛に、伊藤さんにお手紙を差し上げたことはありますが、
まだ、直接お会いしたことはありません。

お会いできます時が来ますことを、信じております。
(20200720月曜)

投稿: ミロ(務☆) | 2020年7月20日 (月) 06時55分

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