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2020年10月26日 (月)

知らない人から送られてきた歌集!

まったくお会いした記憶がない歌人の加藤英彦さんという方から『歌集プレシピス』が送られてきた。

 

クロースの表紙に書名と著書名が箔押しされている。装丁は間宮俊一さんという方、「プレシビス」とは危機的な状況や断崖の謂いで、ここ数年、集団的自衛権や沖縄の基地問題、原発の再稼働や憲法改正など、政権は急速に危うい方向へと舵を切り始めたように思う。そんな暗鬱な時代への喩を込めて集名とした。と、あとがきにある。

 

略歴には「1954生まれ。(66歳)。1972〜1977年結社「創作」に所属。1976〜1987年結社「氷原」に所属。現在、無所属。現代歌人協会理事。日本歌人クラブ会員。日本文藝家協会会員」

 

発行元の「ながらみ書房」は、歌集の自費出版を手掛けている出版社で、社長の及川隆彦さんは、若い頃は出版社に勤めていた方だ。

 

2015年3月に「ながらみ書房」から大学歌人会の後輩の実践女子大学卒業の深井美奈子さんが豪華な『深井美奈子全歌集』を出版したときにあとがきを書かせてもらった。祖父も父親も、息子たちも医者という貧しさなど知らないお嬢様だ。

 

ぼくよりも5歳も年下なのに、もうこの世にいない。深井美奈子さんのあとがきを書いたご縁で、「ながらみ書房」の及川隆彦さんと知り合った。

 

おそらく加藤英彦さんの歌集『プレシビス』を送ってくれたのは、「ながらみ書房」の及川隆彦さんだろう。ぼくは作歌していたのは20代前半までで、それから短歌とは縁が切れている。

 

短歌を作っていたことから、「令和」の名付け親、中西進さんと知り合い、中西さんがぼくの作品を絶賛してくれたので、ぼくは自信を持ち、それからの人生は積極的になりいい仕事を残すことができた。

 

ぼくは短歌というものは、57577の引文字という規則を守り、その中で表現すべきで、加藤英彦さんの作品は、短詩というべきだろうが、今の時代、短歌の世界も変わっているので、ぼくがとやかく言うべきではない。

 

  階段にすわる少女を眸をあわす湯からあがりし母のまぼろし

 

  さっき富士をみて来ましたと夕風の束をかかえてもどりぬ母が

 

時局を歌った作品も多いが、両親を歌った作品が胸を打つ。

 

  まだひとり棲んでいるという夕まぐれ父よこの家にさまようをやめよ

 

  軽くなりたる父を湯舟に洗いおり触るれば楽器のような肋を

 

  父を焼く夢よりもどり来る母がくつくつと春の野菜を煮つむ

 

  少年は老いる速度をはかりおり見下ろす川のふかさが暗い

 

  遊園地にも陽はおちてメリーゴーランドの馬たちが一頭ずつ目をとじる

 

  撃たれたる子も夕ぐれはもどる家ありて厨にカレーが匂う

 

加藤英彦さん、親思いのやさしい方だ。ぼくは父親にはまったくなんの感情もない。母親が無学なので馬鹿にされていたが、病気になって母親の看護なしでは生きて行かれなくなってしまった。

 

加藤さん、うらやましい方だ。

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