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2020年11月16日 (月)

『薔薇族』は昼間読むもの

1989年(昭和64年・平成元年・今から21年前)の『薔薇族』11月合・No.202号の投稿欄に「『薔薇族』は昼間読むもの」と題する高知県の草叢しげるさんの投稿が載っている。

 

「『薔薇族の小部屋』の本を手に今日も床に向かっています。少年時代は『ひまわり』を愛読して育ちました。

 

内藤ルネさんんお目の大きい、唇の厚い少年のヘアスタイルもばっちの絵、今も表紙を飾っている、ルネさんの絵のハンカチなどに、すっかりとりつかれてファンになってしまいました。

 

ある夜、なんだか素晴らしい愛が待っているような気がして、勤めからの帰りに立ち寄って散歩する公園で上司にばったり会って、意気投合し『薔薇族』を一冊いただき、初めて存在を知りました。当時は地方では市販されていなくて、注文して取り寄せるとか、東京や大阪に出張するたんびに頼んで毎号欠かさず愛読してきました。

 

『薔薇族』なんという若々しい響きでしょう。これほど胸を高鳴らせ、熱い情熱を感じさせる雑誌はほかにありません。

 

悲しみも嬉しさもなんでも話し合え、赤裸々に腹を割って胸のもやもやを吐き出せるのでストレス解消にもなると思われます。

 

たくさんの愛読者の友を求める心からの絶叫がひしひしと伝わってくる大きなオーケストラのような気がします。

 

そのレコードに針をそっと置くように本を開くと大きな叫びが、いとも静かに波紋のように胸の中に押し寄せて広がります。上品な快感が体内にリズミカルに高鳴りながら鼓動となって響きます。

 

人と人との出会い。そして精通という尊厳な儀式。その中には緊張と安心とが複雑にからみあい、そしてひそやかにむさぼる快感。熱いものが体じゅうをかけめぐるメカニズムは、自分では求められない。体外からのものであるだけに神秘さにしびれさせられます。

 

ソフトなロマンを秘めた『薔薇族』の本は、昼間読むものと決めています。ぎらぎらと太陽がまぶしく照りつける部屋に閉じこもり、どうしようもなく胸のときめきと抑えきれない躍動感に生きている実感を味わうのです。もちろん仕事もはかどります。

 

あのページのあの写真をいま一度と開き、ポーズに遠い青春の日を蘇らせています。

 

最近では表情豊かなふたりのからみ、まじめそうな若者の切ない表情などに目が止まり、分厚いページの中から真珠の玉を見出す喜びを楽しみにしています。」

 

なんという名文だ。こうした読者を持って編集長として、こんなにうれしいことはない。

 

今どきの若い人には、経験したことがないから理解できないだろうが、手巻きの蓄音機に大きなレコードをのせ、息をとめるほどにそっと針を置く。

 

そうすると大きな叫びが、いとも静かに波紋のように胸の中に押し寄せて広がります。なんともうまい表現だ。

 

この方、内藤ルネさんと、藤田竜さんが苦心して作り上げた『薔薇の小部屋』たった2号でぽしゃってしまったけれど、今見ても執筆者は豪華で贅沢な雑誌だ。

 

この『薔薇の小部屋』を手に今日も床に向かっています。と書いてくれている。

 

「少年時代は『ひまわり』を愛読して育ちました。

今でも本棚に『それいゆ』『ひまり新聞』『歌劇』『宝塚グラフ』『こんにちは』『マドモアゼル』『人形物語』『リボン』の付録『ルネ先生のスタイル、ヌリエ』など、もういっぱい大きな思い出の宝物として大切にしまっています。そして『薔薇族』も。」

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