はかない恋は終わってしまった!
下北沢駅の南口から商店街を5分ほど歩いてくると、餃子の王将があり(以前は銭湯だった)、その筋向いに、間口は一間ほどで、奥行きが長い店がある。
クリーニングが入っていたのは覚えているが、すでに何軒か代替わりしていて、家賃が高いのか、長くは続かない。
今年の春ごろだったろうか。タピオカを飲ませる店がオープンした。タピオカってなんなのかと辞書で調べてみたら、「熱帯産のキャッサバという植物の根、茎からとれるでんぷん」とある。
あまり意味がわからない。一度どんなものかと思って店に入ってみた。女性の店員がいて台湾生まれのようだが、日本語はカタコトしか喋れない。
どんな味だったか今はよく覚えていないが、こころが通じるものがあったのか、ぼくが店の前を通り過ぎようと思うと、店の中から手を振るではないか。そうなれば店に入ってタピオカを飲まないわけにはいかない。
だんだん親しくなって、マスクを外して写真を撮らせてもらった。目がぱっちりしてかわいい子だった。
今年の夏は暑かった。3月20日に三軒茶屋の銀座アスターで、ぼくの米寿を祝う会を開いた頃は、すたすたと歩けたが、コロナウイルスが大騒ぎになって、外に出られなくなり、家にいることが多くなってきて、歩けなくなってしまった。
10月に入って少し涼しくなってきたので買い物に下北沢のスーパーにいこうと思って、タピオカの店の前を通ったら、シャッターが降りたままになっていた。
その頃、新聞に表参道にもタピオカの店が何軒もあって、行列ができるほど飲みにきたお客さんがいたのに、ブームがすぎて店じまいしてしまったと記事に書かれていた。
王将の筋向かいのタピオカの店もシャッターを下ろしたままになっている。
確か「龍」さんという名前だったと記憶しているが、台湾にもどって幸せに暮らしているのだろうか。
はかない恋は終わってしまった。
世田谷区に介護保険を払っているので、お願いしたら、手押し車を貸してくれた。疲れた時は椅子にもなり、中に買い物をしたときに入れられる空間がある、ありがたい手押し車だ。それを押して駅前のスーパーに通っている。
日本人はお国の言うことをよく聞いて、マスクをほとんどの人がつけている。さからっているわけではないが、マスクはポケットに入れてもっていて、スーパーに入るときにはつけるが、外を歩いているときにはつけない。
人ごみの中を歩くのならマスクをつけるべきだが、裏通りを歩いてスーパーに行くのでマスクはつけない。
それにしてもコロナウイルスの患者は、なかなかなくならない。とんでもないものを中国は世界中に蔓延させてしまったものだ。なんとか押さえ込むことができなかったものか。
日本では死者の数は少ないが、アメリカは多くの死者を出している。少しでも早くコロナウイルスの騒ぎを終わらせたいものだ。
エイズが日本に入ってくるというので、ぼくが編集長だった『薔薇族』は、帝京大学の附属病院の松田重三先生の力を借りて、エイズと闘うことができた。が、コロナウイルスとはどうにもならない。
なんとも辛い話で、嫌な時代になってしまったものだ。
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