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2020年12月12日 (土)

大木に柱時計がかけられているなんて!

今の若い人には知るよしもないが、昭和の20年代、30年代の頃だったろうか。父が出した本で、『狂人物語』という新書版がある。

 

ペンネームだが大川徳二著とある。本名は確か鈴木一念という人だ。歌人でもあるので、父も作歌していたので知り合いだったのだろう。

 

この人の弟は鈴木信太郎という有名な画家だ。

 

ぼくは父の使い走りで、吉祥寺の少し手前の久我山というところに住んでいる、鈴木信太郎さんの豪邸を尋ねたことがある。

 

庭が広くて庭を眺められる和風の家だ。同じ時代に活躍された方で、フランス文学の同姓同名の方がいるが、鈴木信太郎さんは画家だ。

 

友人の田中英資さんが、ネットで調べて紙焼きにしてくれて、画歴などをコピーしてくれたのに、どこにしまいこんでしまったのか、みつからない。

 

鈴木信太郎さん、幼い頃の脚の病気での身体障害者で、奥さまがしっかりした方で、マネージメントをされている。

 

奥さまとしては、ご主人のお兄さんが神経をわずらい長いこと脳病院での生活をされていたことをよくは思っていなかっただろう。

 

父が鈴木一念さんの脳病院での生活を描いた『狂人物語』。装画を描いてくれた。鈴木信太郎さんの画風は、子供っぽく描くことで人気のあった方だ。

 

西荻窪にある「こけし屋」というレストランは、鈴木信太郎さんの描いた絵を作って、マッチにしたり、チラシやメニューにも使っているようだ。ご近所なので食事に行ったりして知り合ったのだろう。

 

先日、田中さんが運転してくれて、女房の古里、新潟県の弥彦村にある、別荘の伊藤館に行って、段ボールの中から、鈴木信太郎さんの原画を見つけ出した。

 

大きな木の幹に柱時計がかけてあり、その横に杖をもった黒い服に、黒い帽子をかぶった人が立っている。赤い雲が四つ描かれている。その発想が面白く、ほのぼのとも感じさせる絵だ。

 

Img_0157

 

原画が出てきたので、これはお宝だ。早速壁にかけて、毎日、眺めている。

 

この本を出版したのは、もう今から60年以上も前のことで、ぼくが駒大在学中だったのか、卒業した頃のことか、まったく覚えていない。この本、売れなかったと思う。

 

脳病院の中での出来事に興味をもつ人は、いないのでは。しかし、大木の幹に下げられている柱時計は、今でも時を知らせてくれているようだ。

 

とうの昔に鈴木信太郎さんは亡くなっているが…。

 

あの日、鈴木信太郎さんの家を尋ねて、庭園を眺めた時のことは、今でもはっきりと覚えている。

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コメント

まだ若い頃、御自宅の修繕で数日、お邪魔しました。
ある日のこと旦那さんに声をかけられ上階の部屋に案内され、愉しくも不思議なお話しを聴かせていただきました。
西洋骨董に囲まれ、雑誌薔薇族や旦那さんの稿を拝見。
すると「あなたは私の店に来たらモテるよ。老けホモに」思いもよらぬ洒落の利いた振りに咽せたこと、思い出しました。
親友の平岡精二さんも毎週土曜日に遊びに来て、同じ話を聞いたことがありますが、この時は伊藤さんの予行体験のお陰?で大笑いで済みました。

投稿: 孫景文 | 2020年12月14日 (月) 00時18分

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