2009年12月19日 (土)

挫折乗り越え出版した本が朝日に!

 今年の日本シリーズで優勝した巨人軍の阿部捕手がお立ち台の上で「最高で〜す!」と叫んだ、あの気持ちが僕にも当てはまる。

 1970年(昭和45年)の1月11日、33歳の若さで酸欠死してしまった先妻の舞踏家、ミカ(本名・君子)。あれから39年の長い年月が流れ過ぎている。

 マスコミに多くの話題を提供したミカが亡くなった時、週刊誌やスポーツ紙がその死を報道してくれた。

 それらを読まれた女流作家の丸川加世子さんが、ミカのことを小説にしたいという申し入れがあり、日記、写真、週刊誌などの切り抜き帖などをお貸しした。

 仙台の七夕祭りに行く超満員の夜汽車の中でのミカとの出会いから事故死するまでの15年間を何日もかかって話をした。

 1971年(昭和46年)の8月1日発行の『小説現代』(講談社刊)に、「被虐の舞踏家」というタイトルで掲載された。

 その後、1周忌も待たずに再婚し、日本初の同性愛誌『薔薇族』を創刊させたことで忙しさにまぎれて、丸川さんに資料をお貸ししていたことなど、すっかり忘れてしまっていた。

 しかし、ミカにとっては作品の芸術性よりも「裸」ということだけに、マスコミのスポットが当てられてしまったことを気にして、なぜ、裸で踊るのか、なぜ、性をテーマにした踊りを創作するのかということを世の中の人に訴えたかったに違いない。

 それができるのは僕しかと思うと、なんとしても本として残しておきたいという思いがつのるばかりだった。

 なんとすっかり忘れていた丸川さんにお貸ししていた資料が数年前に戻って来たではないか。まさにタイム・カプセルのふたを開けるような思いだった。

 しかし、それからが僕にとって、次から次へと多くの試練が待ち受けていた。『薔薇族』の廃刊、左膝の人工膝をつける手術。75年住み慣れた家と土地を信用金庫にとられての狭いマンションへの引っ越しと。

 6畳2間だけの狭いマンションでは、机に向かって原稿を書いているすぐそばに女房が座っている。

 女房の久美子が知らんぷりしてくれていなければ、この本は生まれなかった。世界大不況の中、ネットの出現で、今や出版界は苦境に追い込まれている。2社に断られ、やっと彩流社が出版を引き受けてくれたが、初刷りはたったの2000部だ。

 6月に出版され、共同通信社文化部が、すぐさま僕の写真入りでインタビュー記事を全国の有力地方紙、30紙に配信してくれたというのに、ほとんど反響がなかったそうだ。

 朝日新聞社会部の小泉信一記者、10年ほど前に、初めて『薔薇族』を紹介してくれた人だ。小泉さんは人情に熱い人で、下町の売れない芸人などを記事にしたりしている。著書に『東京下町』(創森社刊)があり、最近、朝日新聞出版から『お〜い、寅さん』(本体900円)も出された。

 自ら志願して日本最北端の稚内におもむき、支局長を勤めるなどの変わり者だ。そこで記事にした高倉健の話を読んで、朝日新聞の社長さんが感動して小泉さんに電話をかけてきたそうだ。

 小泉さんは自分が書いた『裸の女房』の記事のゲラ刷りを読んで、涙を流したと電話をかけてくれた。短い文章の中に、全身全霊をこめて書く。心のこもったいい記事を書く記者は少ない。そんな小泉記者が記事にしてくれた僕は幸せ者だ。

 もう本は売れなくてもいい。朝日が記事にしてくれたということは大変なことなので、まさに「最高で〜す!」と叫びたいぐらいだった。。

 銀座のキャバレー「白いばら」での出版記念会、この不況のおりに、、大枚1万円の会費を払って集まってくれた多くの友人、知人たち。出席できないのにカンパしてくれた人たち。こうした僕を支援してくれる良き友人、知人たちがいる限り、いい仕事を残して多くの人たちの友情に報いたいと思っている。

★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で千円の定額小為替を作ってもらってお送りください。155-0032 東京都世田谷区代沢2-28-4-206 伊藤文学

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★新しく『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」が下北沢にあります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読者好みの古書が沢山置いてあります。電話03-3467-0085です。

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2009年12月16日 (水)

いつの世も庶民税金で苦しがり

 僕の父は美しい文字を書く人だった。僕は母親似なのか、文字を書くのは苦手だ。自ら鉄筆を使って、謄写版で小冊子を作っていた。

 昭和52年(1977年)4月27日発行とある『川柳から見た、税の戦後30年史』がみつかった。父の肩書きは、日本川柳協会常任理事・番傘川柳本社同人で、ペンネームは柳涯子と号していた。晩年は川柳家として活躍し、草津のハンセン病の患者たちにも、ボランティアで川柳を指導していた。

 あとがきにこんなことを記している。
「川柳というものは、今から二百年ちょっと前に、江戸の浅草に起こったもので、今日では関東より、関西から九州の方で盛んであります。
 風刺とか、ユーモアとか、うがちといったものが主となった、俳句の弟分に当たる短い17文音字の文芸であります。
 税と税務署に関する句を並べて、戦後30年の歴史を辿ってみましたが、川柳って面白いなとおわかり頂ければ幸いです。
 私は世の中を明るく、かつ楽しくするために川柳を作り、川柳を広める努力をいたしております。」とある。
 
 古希近くしてマイホームやっと建ち

 美術館を造ってしまった、僕の道楽で父がやっとの思いで建てた家も土地も失ってしまった。その上、右から左に素通りして、信金にとられてしまったというのに固定資産税がどかっとかかってきて苦しんでいる。

 しかし、税務署は悪代官のような信金と違って、しぼりとろうとはしない。払う意思があって、少しずつでも払っていれば無理なことは言わない。

 「昭和25年、シャウプ勧告(アメリカからの勧告だろう)によって税制改正、厳しい税金に怨嗟の声起こる。税金苦から一家心中を図る者あり。中小企業の倒産続出。)と父は解説している。

 死ぬものは死ねと税金取りたてる(笑草)

 税務署の方へ人魂今日も飛び(桟司)

 税務署の方かと親父火事を聞き(種太郎)

 こんな時代を会社の経営者や商店の親父さんたちは、逞しく生き抜いて来たということだ。今時税務署の差し押さえも強引ではないようだが、この時代、差し押さえのトラックが街中を走っていたようだ。

 引越しのように積んでいる差押え(夜潮)

 差押えされて病人飛び起きる(梅隠居)

 投票をした内閣の税で死に(柳葉女)

 微税書生かしておかぬように来る(日の丸)

 税金を飲んで税金忘れよう(圭佑)

 僕は煙草を吸わないからいいようなものの、煙草の税金をあげようとしている。煙草を吸う人ってやめられるわけがないから、今に戦後のようにモクひろいでもすることになるかも。父の句にこんなのがある。

 税務署の敷居だんだん低くなり(柳涯子)

 父は税金を払うのが好きで、僕には給料をくれないくせに、税務署はいい顔をしていたようだ。僕の即挙の句。

 税務署親切すぎて気味悪い(文学)

 Photo父と僕と写っているのは、この写真だけ。


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2009年10月18日 (日)

死のうと思ったら、周囲の人に話せ!

 『薔薇族』の読者から、こんな手紙をもらったことがありました。

 「私がなぜ、この道に入ったのかというと、やはり世間のお定まりのコースを歩んで来たのです。
 あれは中学2年の2学期末の試験勉強をしていて、勉強に疲れた私は外に出たときに、知り合いの人に会い、話をしていて、ふいをつかれて犯されてしまったのです。それ以来というもの、私の体は男にしか反応を示さなくなってしまったのです。
 私は、その人をうらみました。憎しみました。こんな自分になったのをせめ、こんなにさせたその男を・・・。
 高校に入り、1年の学年末、私は自殺未遂をしました。どんなにかこの道から抜け出たいと思いましたが、体がいうことを聞いてくれないのです。
 2年生になり、理解ある担任の先生に恵まれ、その先生に相談していましたが、どうにもならず、2度目の自殺未遂をやったのです。
 先生に支えられて、やっと生きる決心をしたのですが、今度はその担任の先生を好きになってしまったのです。
 こんなことでよいのでしょうか。今でも不安は募るばかりです。」

 「伊藤さんにこの手紙が着く頃には、僕はこの世にいないでしょう」なんて手紙をもらったので、心配して電話をかけてみたら、お母さんが出て、「息子は今、アルバイトに行っています」なんていわれたり、まず死ぬなんて言ってくる人は自殺なんかできません。

 本当に自殺する人は、人に黙って死んでしまいます。我が家と同じように地元のS信用金庫にいじまられて屋上から身を投じて自殺してしまった奥さんの話を書きましたが、今年も自殺者は増えるばかりで、3万人を越すそうです。

 僕の住んでいるマンションの1階にある不動産屋さんの話だと、どのマンションも満室になっているところは少ないそうです。それに入居者に家賃を値切りに値切られるそうで、礼金とか、敷金も1ヶ月分しかとれないとか。莫大な借金をしてマンションを建てた大家さんはみんな返済に困っているようです。

 朝日新聞の10月8日の朝刊に、白夜書房の編集局長の末井昭さんが、「見て見ぬふりせず死者悼ね」という長い記事をのせています。

 ご自分の体験を赤裸々に書いているのですが、小学校に末井さんが入学した頃、お母さんが隣りの家の10歳年下の青年とダイナマイト自殺したそうです。お母さんが32歳のときとか。

 末井さんは自殺について、こんなことを書いています。

 「ひとりで悩んで考えても問題は解決しない。
 だから、まず『死のうと思っている』と周囲に言いふらして、窓を開けることです。死のふちで迷っている人の話は、みんな真剣に聴いてくれるはずです。話しているうちに、何とかなるのに、その発想がなかっただけだった、と気づくこともあるんじゃないかな。
 (中略)
 死者を心から悼んで、見て見ぬふりをしないでほしいと思います。どうしても死にたいと思う人は、まじめで優しい人たちなんです。
 みんなが心から悼んで、1年に3万人も死ぬ事態を議論するようになれば、何を変えなきゃいけないか見えてくる。それが一番の自殺防止になるんじゃないか、と考えています。」

 台風で亡くなった人の話は新聞に大きく報じられて、自殺した人の話は記事にもならない。1年に3万人以上の人が死んでいるなんて、大変な話なのに、近所の人にも自殺したことを隠して内緒にしてしまう。これでは死んだ人も浮かばれないのでは。

Photo


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2009年10月15日 (木)

信用金庫は庶民をいじめる悪代官か?

 民主党に政権が変わって、亀井静香・金融郵政改担当相が、中小企業向け融資や住宅ローン返済を3年程度猶予する法案を提出するという。

 今まで自民党の議員で、こんなことを言い出す人はいなかった。いろいろ問題はあるようだが、弱い者の味方になる大臣が現れてきたことはありがたいことだ。

 地元の信用金庫は弱い者の味方のようなことを言ってきたが、内情は高利貸しより悪らつと言っていいだろう。

 僕は水戸黄門をテレビでいつも見ている。悪代官が懲らしめられる話しは、見ていてすかっとするからだ。

 平成5年11月に女房の古里の新潟県弥彦村に「ロマンの泉美術館」をオープンさせたが、そのための建設資金は地元のS信用金庫から借入れ、その担保として50坪の土地と家が当てられることになった。

 借りてお金を返せなくなったのも悪いが、貸す方にだって責任が全くないとは言えない。当時の支店長は定年で辞められて、孫が生まれたと年賀状をよこしている。

 利子が高すぎると何度も貸付係に頼んだが、のらりくらりと下げてはくれなかった。10年間は何とか月に100万円返済し続けたが、雑誌は廃刊し、収入がなくなってしまってからは地獄だった。

 会社の経理は次男の嫁が担当していたので、貸付けの窓口に行くたびに脅かされる。3ヶ月滞納したら、家を取るぞと言われるものだから預金を全て吐き出し、生命保険も解約、それでも払えなくて親族から借りた。これだって限界はある。最後は僕ら夫婦と息子夫婦が100万円ずつのローンを無理矢理組まされた。それで4ヶ月分は返済したが、それで終わりだ。「どっちにしたって返せなくなるのだから返済するのを止めろ」と何度も嫁に言ったけれど、僕に悪いと思ったのだろう。75年も住んでいた家と土地を取られるのだから、最後まで嫁は持ちこたえてくれたが、もうどうにもならなかった。

 後で知った話しだが、65歳以上の老人はローンを組めないというのに、なぜか70を過ぎた僕にもローンを組まされた。

 僕は家がなくなっても、ああ、なくなったなとしか思わなかったが、女房はこたえたようだ。3階建ての言えから6畳2間のマンション暮らしになってしまい、そのストレスから十二指腸潰瘍の手術を受けることになってしまった。それからは太れなくなって、今では骨と皮の状態だ。

 そんなことがあっても、僕らは何とか乗り越えて暮らしているが、最近、ショックな話を聞いてしまった。

 S信用金庫のそばに建つ7階建てのマンション、このオープニング・パーティに出席した時に、この建物の設計者のSさんと出会い、Sさんに「ロマンの泉美術館」の設計を依頼してしまった。

 このマンションの竣工が平成5年の2月、美術館のオープンが11月、とんとんと出来上がってしまった。

 やはりS信用金庫から多額の資金を借りて建てたのだ。

 このマンションのオーナーのIさんと僕の女房が街で出会ったら、「大変なことになっている」とぼやいていたそうだ。

 それからまもなくの9月の地元の八幡神社の祭礼の頃、Iさんの奥さんがマンションの屋上から身を投げて自殺してしまった。マンションの部屋の借り手が少なくなって、計算通りに返済ができなくなってしまったのを苦にしてのことだろう。

 支店長がひょこっと顔を出して転勤になるということを告げにきた。

 この支店のお客さんの会の会長を、僕は20年ほど勤めたが、年に一度の総会のおりには理事長が出席して、「S信用金庫は今年も何十億もの利益を出している」と自慢げにしゃべっていた言葉が妙に記憶に残っている。

Photo廃墟になってしまった美術館

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2009年9月25日 (金)

トイレで食事を!ひどい世の中になったものだ!

 朝日新聞の9月14日号(日)朝刊の学生欄に、こんな記事が載っていた。「一人で食堂入りにくい・6割=法大教授調べ『便所飯』経験も2%」という見出しで。

 「一人で食べる姿を見られたくないから、トイレで食事をとる〝便所飯〟。
 学生の間で広がっているとされることから、実態を探ろうと法政大学の尾木直樹教授が、同大の487人にアンケートした。
 400人から回答があり、〝便所飯をする〟と応えた学生が2.3%(9人)いた。ほかにも〝一人で食堂に入れない〟〝いつも友達と一緒じゃないと落ち着かない〟という回答もあった。

 尾木さんは毎回、講義の最後に、学生に質問や悩みを自由に書かせている。その質問の一つに〝トイレに食事禁止の張り紙があるって本当ですか〟とあった。
 〝大学のトイレで昼食をとる便所飯〟について〝よくある〟という回答は0.3%、〝少しある〟の2、0%と会わせて、2.3%が便所飯の経験者だった。
 また〝一人では学生食堂に入りにくい〟が〝よくある〟と〝少しはある〟をあわせて6割近くに上った。〝昼食は友達と一緒でないとみじめだ〟が〝よくある〟で31.8%、〝少しはある〟も13、3%あった。
 〝いつも友人と一緒でないと落ち着かない〟は、〝よくある〟〝少しはある〟を合わせて23、5%になった。
 最後に〝学生生活を充実させるために大学へ何を要望しますか〟と聞き、自由記述で答えてもらった。授業料減額を求める声が多い一方、〝たまりば〟〝楽しくしゃべるスペースがほしい〟というものも少なくなかった。
 尾木さんは数年前から〝大学生が変わってきた〟と気になっていた。調査で〝一人でいられない学生の姿が浮かび上がって来た。その突出した現象が便所飯ではないか〟。
 東大や早大で聞き取りをしても同じ傾向が見られるという。〝依存度が高く、他人の目が気になるのは思春期の発達の特性だが、それは小5から、中3の発達段階。高校時代、人との交わりや、生活体験が抜け落ちてしまっているのではないか〟と指摘している。(数字はいずれも速報値)」

 トイレの中で食事をしている学生がいるなんて、昭和一ケタの人間には考えられないことだ。

 今の世の中、一人っ子があまりにも多いということ。我々の時代には、兄妹が4人、5人というのは当たり前だったから、便所飯など考えもつかない。

 この調査では便所飯をしている人が、男なのか、女なのか記していないが、恐らく男子学生に違いない。女子学生には、そんな気の弱い学生はいないのでは。

 一人っ子の男子学生も、母親に可愛がられて、ひ弱な男になってしまうケースも多いが、一姫二太郎の家族も多いから、長女は男っぽく、しっかりとするが、二太郎の方はひ弱に成長してしまうケースが多い。
 
 ひとりで学生食堂で食事をする方が、わずらわしくなくて落ち着いて食事ができていいと思うけれど、それが嫌だという。なんとも情けない話だ。

 今の大学は勉強をしに行くところではなくて、女性の友達を見つけに行くところ、友達とわいわいおしゃべりをするところになってしまっているのだろうか。

 女性に声をかけられない男も多いというし、友達になれてもセックスができない男も多いという。

 今こそヤマジュンの「やらないか!」精神を普及させなければ。積極的に行動を起こそうではないか!

Photo「ひまわり」のようにたくましく。


★伊藤文学〜第1回「やらないかの集い」
 山川純一君が残してくれた、呼びかけの言葉「やらないか!」。これはエッチな言葉ではなく、日本中の人たちが、うつむき加減で、元気をなくしている今の世の中。元気を出して行動を起こせと呼びかけているのではなかろうか。
 
 1971年、日本で最初の同性愛者に向けての雑誌『薔薇族』を創刊した伊藤文学と熱く語り合おう!
 
 すべて日本で最初の仕事を次から次へと実行した男。男性ヌードの写真集、少年の写真集、ビデオの製作、「薔薇と海と太陽と」「白い牡鹿たち」「愛の処刑」などの映画の製作。同性愛の世界をリードし続けた35年を語ります。ぜひ、みなさんでお出かけください。

日時:9月28日(月曜日)夜7時から9時
場所:下北沢南口「ONE LOVE BOOKS」
会費:1000円(ワンドリンク付き)

〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-1-3
       ☎03(3411)8302

★下北沢の改札を出て、左の階段を降りる。南口商店街を5分ほど歩くと、右側に「餃子の王将」があり、その前の「膳場八百屋」の横を左に曲がると4、5軒目。「足立屋酒店」の前。

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2009年8月15日 (土)

あんまり思い出したくないけれど。

 今日、8月15日は終戦記念日である。廣島、長崎に原爆が投下されなかったら、まだ軍部は戦争を続けていたかもしれない。

 そうなればアメリカ軍は、日本の各地に上陸して来たに違いないし、もっと多くの犠牲者が出たことは明白だ。

 我が家の近くの代沢小学校には、終戦直前、地方から召集されてきた兵隊たちが駐留していた。それらの兵隊たちは20代、30代の若者たちではない。40代、50代のひ弱なオジさんたちだ。

 小銃は門衛の兵隊しか持っていなくて、後の兵隊たちの武器といえば竹槍だ。革靴もなかったのだろう。兵隊たちは地下足袋を履いていた。

 戦争の訓練も受けていないこんな兵隊たちで、どうやって敵を迎え撃つというのだろう。

 小学生も6年生だけが生き残っていて、5年生以下は長野県のお寺に疎開していった。親と離れて、1年生、2年生の小さな子どもたちがよくぞ先生たちにつれられて旅立ったものだ。今時の子どもたちにはとても考えられない。

 我が家の親父は、体が貧弱なので、兵隊に取られなかったが、そんな親父たちも小学校の校庭で、退役した軍人に竹槍で敵を倒す訓練をされていた。

 母は隣組の組長をやっていたので、魚や野菜なども配給制で人数によって配る仕事をしていた。魚といえばなぜか、すけぞうたらばかり。

 さつまいもなども今のように、ほくほくしたものではなく、水をかぶって半分腐ったようなものだった。

 空き地という空き地に、隣組全員で野菜を育てていた。肥料といえば人糞だ。じゃがいも畑に、お尻をふいた新聞紙が黄色くなって顔を出しているのを、今でも覚えている。

 肥料に人糞を使い、その野菜を食べるのだから、お腹に回虫が湧いてしまう。祖母のお尻から白いうどんのような回虫がでてきたのを、これもはっきりと脳裏に焼き付いている。

 今時の人は、回虫なんて見たこともないだろう。ノミだって、朝、布団をたたむと、小さなノミが、ぴょん、ぴょん飛ぶのを捕まえて、指の先でつぶすと、真っ赤な血を吸っている。

 毎晩のように空襲があるものだから、寝間着に着替えて寝るなんてことはできない。昼間着ている服でそのまま寝ていた。下着には日光に当てるとぴかぴかしたシラミが、びっしりと付いている。

 石けんがなかなか手に入れにくかったから、どうしても不潔になってしまって、シラミが湧いてしまうのだ。母親が大きな鍋に湯を沸かして、下着を煮て、シラミ退治をしてくれた。

 お酒や煙草も吸わない人にも配給になるので、母はそれを物々交換していたようだ。

 小学校に駐留している兵隊たちの家族が、たまに面会にくることがあった。我が家は小学校と目と鼻の先にあったので、座敷を貸してあげた。真っ白な握り飯を食べているのをうらやましく見ていたものだ。

 兵隊たちの食物は、白米なんてあるわけがない。今なら鳥のえさにもならない、こうりゃんを食べていたようだ。赤飯のようにも見えるから、田舎から出て来た兵隊たちは、お祝いしてくれるのかと思ったそうだ。今ではこうりゃんなんて知っている人もいない代物だ。

 これらの兵隊たちも、すぐに終戦を迎えてしまったから、戦わずに古里に帰って行ったのでは。

 女房はたらが好きで食べたがるが、僕は戦時中、たらばかり食べていたので、たらには悪いけれど、今でも食べる気がしないのだ。

Photo_2(日中戦争の頃の軍事郵便。なんとなくのんびりしている)


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2009年8月 8日 (土)

いまだに核兵器を造っている人間がいるなんて!

 原爆が投下されて、何十年も草木も育たず人間も住めないと言われたこともあった。それほど放射能は恐ろしいものだった。ものすごい高熱ですべてを破壊し、焼き尽くしてしまったというのに、蛆虫(うじむし・はえなどの幼虫)だけは、死体や軍馬などの死体に湧くというべきか、付着しているという作品が、原爆歌集「廣島」の作品の中に多く見受けられる。

 考えつかないほどの生命力だ。それだけにより悲惨か情景が浮かび上がってくる。

 蛆(うじ)のみは放射能の中に生きており黒き屍体に白くうごめく

 黒き蝿(はえ)一団となり飛び立てり軍馬の死体埋没の箇所に

 声出でずうめけるみれば焼けただる腹部に小さき蛆虫動く

 火ぶくれし肌へにすでに蛆湧けりかくてこの人また死にゆけり

 まさに地獄絵図だ。悲惨というしかない。キリストを信じる国の人たちが、非戦闘員である人々をこのような悲惨な姿にしてもいいものだろうか。

 原爆歌集「廣島」を英訳して、多くのアメリカ人に読ませたいものだ。こんな恐ろしいものを今でも製造している人間って、なんなんだろう。

 焼けただれて死にいく前に、誰しもが水を欲したのだろう。だが水があるわけがない。

 火ぶくれになりて裸に倒れゐる処女水欲るわが足つかみて

 焼け切れしシャツ持ちて恥部を覆ひたる女が水乞ひてわれに寄りくる

 僕は戦争の末期の頃は、中学一年生だったから、僕が住む世田谷がB29の空襲を受けた時は、周りが火の海になって、空気が熱く感じたのを覚えている。原爆が投下された一瞬というのは、こんななま易しいものではなかった。

 子どもを歌った作品も多く胸を打つ。

 ズロースのひもひとすじに手をかけし形に死にし少女もありき

 焼豚の如く死にたる子の唇(くち)に水与えゐしその母も死せり

 こと切れし母とも知らずその乳をまさぐるよこの盲ひたる児は

 化膿して口もつむげぬ中学生かすかに舌で「アカータン」とつぶやく

 息絶えし母とも知らず幼子は黒焦げ死体にまつはりてをり

 仰向けにみな並べたる少年の陰(ほと)の黒きが悲しく消えず

 焼けただれ盲(めしい)となりし幼子が母の名呼びてさ迷ひをれり

 何にも悪いことをしたわけでもないのに、こんな悲惨な目に遭うなんて。ごく一部の人たちの金儲けのために戦争を引き起こす。どんなことがあっても戦争は止めるべきだ。

 「安らかに過ちはくり返しません」という墓碑銘はウォール街にでんと建てよ

 Photo_2(中国新聞提供)


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2009年8月 7日 (金)

原爆歌集「廣島」こそ世界史的な文化遺産だ!

 先日、テレビを見ていて初めて知ったことだが、アメリカの軍事費は、世界中の他の国全ての軍事費よりも多いということを。

 それでなんとなく納得したが、ベトナム戦争でアメリカは、みじめな思いをしたというのに、まさかイラクと戦争はしまいと思っていたら、イラクとも戦争を始めてしまった。それが終わったと思ったら、今度はアフガニスタンとだ。

 自動車のメーカーが破産しているというのに、武器を作る会社が破産したという話は聞いたことがない。

 アメリカはどこかの国と戦争をしていないとまずいらしい。兵隊にも志願してなるようだが、志願する貧しい若者には、学費を出したり、生活を支えたりしているようだ。

 政治家たちも軍需産業のメーカーから献金をもらっているだろうから、どこかの国と戦争を起こして、武器、弾薬を消耗しなければならない仕組みのようだ。

 北朝鮮がミサイルを発射したというので、大騒ぎしたが、いつの間にかミサイルを迎え撃つ武器をアメリカから買わされているので驚いてしまった。

 アフガンとの戦争が片付いたら、いよいよ北朝鮮とアメリカは一戦を交えるかもしれない。

 昭和20年8月6日、廣島に原爆を落としたのも、製造した原爆を試験的に使ってみようと思ったからに違いない。戦争を速く終わらせるためとアメリカは主張しているが、製造したものを使わなければ軍需産業が成り立たないからだろう。

 太平洋戦争が集結して9年目に、僕の父親が企画して、第二書房から原爆歌集「廣島」が出版された。

 戦後、出版された原爆に関する本の中で、最も優れた著書であると評価されている。

 昭和29年8月6日に発行され、定価は200円だ。発行されるや朝日新聞が社会面トップに大きく紹介してくれた。

 序文を廣島大学名誉教授の長田新さんが書かれている。
 「あの世紀の怪物、いや鬼畜原爆を以て体験し、そして九年後の今まで生きながらえた人々の魂の叫びである。そこにこの歌集の特色があるといっていい。
 終戦後、原爆に関する芸術上の種々の作品が次ぎ方、次へと世に出て、私たちに感動を与えたことは事実だ。ところが考えてみると、それらの作品には、身を以て原爆を体験した廣島市民の嘆きと、悲しみ、怒りと訴え、そうしたものが、現に生き残っている私たちが感じているほど切実に、そして深刻に描き出されていない。ところが今、世に出るこの歌集は、生き残っている人たちが腹の底から、激発奔出させるような深い感動を私たちに与えずにはおかない。
 実際に、この歌集が私たちに与える感動は、身を以て原爆を体験することもなく、ただ遠く、外から眺めて筆を走らせた作家たちの作品とは根本的に違って、つぶさに惨苦をなめ、さらに九カ年の長きに渡って、死生の問を生きながらえてきた、廣島市民の声といってよかろう。」

 長田新さんは、「歌集『廣島』こそは、『廣島の声』として、また『原爆万葉』として廣島市民が後世に残す、世界史的の文化遺産といっていい。」とも言われる。

 廣島市民、24万7000人が、一瞬にして犠牲になった、亡き霊に対しても、こよなき供養ともいえる歌集だ。

 今日は原爆記念日。麻生さんには式典に参加してもらいたくなかった。オバマ大統領こそが式典に参加して、多くの亡くなった霊に詫びるべきだったろう。

 それにしてもアメリカって、不思議な国だと、つくづく思ってしまう。

Photo(カバアの写真はイサム・ノグチ氏設計の平和大橋。稲村豊氏撮影)


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2009年6月23日 (火)

児童ポルノを規制する法律を作る前に!

 選挙が近くなってくると、ポストに「公明新聞」が、毎日入ってくる。

 6月8日(月)の公明新聞の「主張」という欄に、「児童ポルノ・追放へ一刻も早く法改正を・許されぬ『事実上、野放し状態』の放置」という見出しで書かれている。

 「児童ポルノ大国の汚名を返上するためにも、一刻も早い法改正が必要だ。国会は速やかに審議に入るべきである。
 子どもの性的虐待画像の『単純所持』禁止などを盛り込んだ『児童買春・児童ポルノ禁止法』改正案が、与野党双方から今国会に提出されている。
 だが、児童ポルノの定義などをめぐる見解の違いや、政局の影響などから、与野党間の話し合いは進んでいない。改正案はいわば、宙に浮いた格好にある。
 このまま今国会でも不成立となれば、昨年の臨時国会に続く、審議未了・先送りとなる。『事実上、野放し状態』とされる日本の児童ポルノ環境を、いったいいつまで放置しておくつもりなのか。今国会中の法改正を重ねて強く求めておきたい。(後略)」

 政治家というのは、あまりお金にならないような法律作りには熱心にはならないようだ。主要8カ国(G8)を見ても、単純所持を規制していないのは日本とロシアだけだそうだ。児童ポルノを持っているだけで逮捕されたり、家宅捜索されたりしたら、たまったものではない。

 路上でうさん臭いと見られる若者を呼び止めて、鞄の中から、財布の中まで警察官に調べられている光景は日常茶飯事だ。こんなことが当たり前になって、誰も文句を言う人がいないなんて怖い話だ。

 他の新聞が、こうした主張をするのは仕方がないとしても、宗教団体の創価学会が母体となっている公明党なんだから、規制することばかり主張しないで、佛の教えから見て、どういう人たちが児童ポルノを必要としているのかということを、視点を変えて主張してもらいたい。

 児童買春が悪いことは決まりきっている話だ。少年愛の人たち、少女愛の人たちからも話を聞いてほしい。それから規制する法律を作ってほしい。

 あまり規制を強くすると、かえって地下に潜り、そうした犯罪が増えるのではないだろうか。

 少年を愛する人、少女を愛する人は、人間がこの世に存在したときからいるのだということを忘れないでほしいものだ。

Photo


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(1)シルクスクリーンのプリントは熱に弱い為、乾燥機やアイロンの使用はお避けください。

(2)洗濯時は裏返して洗っていただくと日持ちがよくなります。

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2009年5月30日 (土)

「裸の女房」の出版を祝う会は、盛大な会になりそうだ!

 2006年、3年前のことだ。僕の左膝の軟骨がすり切れてしまって、骨と骨がぶつかり、痛くて歩けなくなっていた。

 それでもありがたいことに、河出書房新社からお声がかかり、「薔薇族の人びと その素顔と舞台裏」(本体2000円)を出すことができた。その後、すぐに九天社からも依頼があって、「薔薇族よ永遠に 薔薇族編集長35年の闘い」(本体1900円)と、2冊も、膝の痛みと闘いながら出すことができて、喜んでいたら、幻冬舎から、以前出した文春ネスコの本を文庫本にしてくれるという。

 「薔薇族編集長」(本体571円)、ズバリのタイトルだ。

 3冊も続けて本を出すことができたので、イベント好きの僕はうずうずして、膝が痛くて歩けないというのに、2006年の8月23日、京王プラザホテルで出版記念会を開いてしまった。

 シャンソン歌手の今里哲さん、在日韓国人でゲイという人で、歌は抜群に上手な人だった。岐阜に住んでいる方なので、関西方面で活躍されている。今里さんの歌は、心に響く歌だった。

 僕は、車いすに乗っての出席だったが、100名を越す友人、知人が集まってくれて盛会だった。歌手のクミコさんも駆けつけてくれた。

 それから1週間後には、東京医大の整形外科に入院、人工膝を入れる手術を受けた。

 丁度、本が出た後に入院してしまったために宣伝活動ができなかったので、残念ながらあまりいい売れ行きではなかったのでは。

 九天社発行の「薔薇よ永遠に」は、朝日新聞が書評欄で取り上げてくれたにもかかわらず、九天社が倒産してしまった。

 それから早いもので3年もの月日が流れている。

 その後、僕は怠けていた訳ではなく、ブログの原稿はせっせと書きまくっていたし、亡くなった先妻の舞踏家、ミカのことをずっと書き続けていた。

 100年に一度と言われる未曾有の大不況、世の中、いっぺんに変わってしまって、すべての産業が落ち込み、出版業界も、ネットの普及と、不況が重なって大変な事態に追い込まれている。「裸の女房」も2社で出版することが決まっていたのに、資金繰りがつかないということでお流れに。

 やっと彩流社が引き受けてくれて、原稿用紙に書いた僕の原稿が、ワープロで打たれてゲラ刷りが出てきたときには、涙があふれてくる思いだった。

 本が形になって来ると、また、僕の病気がむくむくと。こんな時代に出版記念会を開く人なんて滅多にいるものではないだろう。それも銀座のキャバレー「白いばら」で。

 好きなことをやるのだから、ひとつも苦にはならないが、何から何まで、僕ひとりでやらなければならない。

 チラシは次男の嫁が作ってくれたが、封筒書きは200人からにへたくそな字で書いて出した。「白いばら」からは50人を集めることが最低のノルマと言い渡されている。

 この不況な時代に、果たして1万年の会費を払ってきてくれる人がいるだろうか。心配になってしまった。

 僕の駒大時代の恩師の渡辺三男先生、僕のイベントに必ず出席してくれて、スピーチをしてくれた。奥様が遺影を持って千葉から駆けつけてくれるという。

 新潟の弥彦村から3人も日帰りで来てくれる。欠席なのに1万円送ってくれた方が、すでに5人も。不景気な世の中だからこそ、キャバレーで、ぱあっと派手に騒ぎたいものだ。

 おそらく100人近い人が来てくれるだろう。人の心のあたたかさをしみじみと感じている。
Photoクラブ「スペース・カプセル」で踊るミカ


★彩流社刊の『裸の女房』は、5月末日の刊行、定価は税込みで2100円。
「裸の女房」の出版を祝う会は、6月6日(土)・午後4時開場、午後4時半開会、終了は午後7時。場所は、銀座・キャバレー「白いばら」(中央区銀座3-5-18)、電話03(3564)0967。会費は1万円(本代・おみやげも含む)です。僕のブログを見れくれている人にお願いがあります。よし、お祝いの会に参加してやろうという方、会費1万円を僕の銀行口座に振り込んでもらいたいのです。どうしても先にお金が必要になってしまったので。
 口座は、「みずほ銀行北沢支店・店番号213、普通預金口座0415466・伊藤文学」です。メールで氏名・住所を教えて頂ければ、領収書と「白いばら」の地図などを送ります。
 もちろん出席して頂けるなら、メールで参加をお知らせいただければ、会費は、当日でもかまいません。ぜひ、友人を誘って、にぎにぎしくお出かけくださいませ。

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(1)シルクスクリーンのプリントは熱に弱い為、乾燥機やアイロンの使用はお避けください。

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